器楽合奏では奏者の一人が指揮の役割を担った。そして、多くは作曲家が奏者兼指揮者を務めることが多かった。具体的には、首席のヴァイオリン奏者が自分の弓を、またはリュート奏者であれば楽器のネックを動かして合奏を指揮した。通奏低音を担当するチェンバロ奏者が指揮をすることもあった。また、オペラでは二人の奏者が指揮を担当した。鍵盤楽器奏者が合唱団を、首席ヴァイオリン奏者がオーケストラを振ったのである。奏者の一人が必要に応じて指揮をするこの手軽なやり方は現代でも行われる。ピアノ協奏曲などでピアノ奏者が弾き振りをすることや、ジャズのビッグバンドでバンドマスターが曲の終りの指示を出すことなどがこれにあたる。
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19世紀初頭、複雑な曲が作曲されるようになると、指揮を専門にする独立した人間が必要になった。指揮棒(タクト)の使用が一般的になり、見やすく分かりやすい指揮が必要とされ、さらには指揮者の手腕が演奏の水準に大きな影響を与えるようになっていった。ハンス・フォン・ビューローは指揮を専門にする最初の職業指揮者として有名である。また、従前から行なわれていた作曲家が指揮者を兼ねる状態も続いた。中でもヴェーバー、メンデルスゾーン、ベルリオーズ、ワーグナー、マーラーらは指揮者としても知られている。
演奏や作曲を引退した音楽家が指揮者としての活動を開始することも多い。しかし、「演奏や作曲から指揮に流れ込んで成功するケース」よりも、「演奏や作曲で見込みがないといわれたので指揮者になったケース」が成功しやすい。